純情オレンジ




なんだかんだふたりきりだと気まずい



忘れ物取りに来ただけみたいだし、すぐ戻っていくはずだけど



「よーし、ちょっと失礼ー」



そう言って私の前の席で向き合うように座る長本さん



「えっ…!?あ、あのー…部活とかは…?」



確か長本さんってバスケ部だったはず



うちの高校の部活は基本的に厳しいところが多い



それにバスケ部は特に鍛えられてると聞いたことがあるから少し心配だ



「あー、大丈夫大丈夫。教室に鍵が開いてなかったから取りに行ってて、その後トイレ行ってましたーとか言ってたらいい言い訳になるじゃん?」



「そ、それってどういう…?」



「ついでに藍澤さんとここでいようかなーとか思ってね。あと半分書けば終わりみたいだしー…いい?」



ニコッと輝かしい笑顔を見せる長本さん



普通はここで反対すべきだけど



「う、うん…いいよ…」



やっぱり断れない




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