【完】きみしょーこーぐん。
 



恥ずかしくて俯いていると、急に体温と鼻を掠める大好きな香りに包まれる。




「中々言ってくれないし、“友チョコ”とか言うし…。本当に勘違いだと思ったんだからな」




ちょっと拗ねた声。

抱き締められていて、表情は見えないけどこんな声聞いたのはじめてだよ。




「ごめんね」


「ん」



狭山が私の手から今度こそ箱を取った。


え?

やっぱりあげたくなくなったとか??



私が不安になっていると、




「後ろ向いて」




と頭上から声がかかる。


言われるがままに後ろを向くと、首に冷たい感触。

なに!?


胸元を見ると、そこにはハートのネックレス。




「え…?」


「これ、“本命”のお返しな」




ニッと悪戯に笑う。


あー、もう抜け出せない。




きっと、私はこれからも君に夢中なんだろう。







きみしょーこーぐん。

みたいだ、私。





**end**
< 9 / 10 >

この作品をシェア

pagetop