【完】きみしょーこーぐん。
恥ずかしくて俯いていると、急に体温と鼻を掠める大好きな香りに包まれる。
「中々言ってくれないし、“友チョコ”とか言うし…。本当に勘違いだと思ったんだからな」
ちょっと拗ねた声。
抱き締められていて、表情は見えないけどこんな声聞いたのはじめてだよ。
「ごめんね」
「ん」
狭山が私の手から今度こそ箱を取った。
え?
やっぱりあげたくなくなったとか??
私が不安になっていると、
「後ろ向いて」
と頭上から声がかかる。
言われるがままに後ろを向くと、首に冷たい感触。
なに!?
胸元を見ると、そこにはハートのネックレス。
「え…?」
「これ、“本命”のお返しな」
ニッと悪戯に笑う。
あー、もう抜け出せない。
きっと、私はこれからも君に夢中なんだろう。
きみしょーこーぐん。
みたいだ、私。
**end**