1 week
「本当に行くの?」

「うん。ダメか?
だって俺と行けって言ってんだろ?
断ったら悪いだろ?」

本当に行くと思わなくて戸惑った。

「明後日の金曜日が休みだから。」

「え?…あ、わかった。」

その夜、私は不思議な気分だった。

宇宙と二人きりで出かけたのは
羽海が産まれる前の事だ。

羽海が産まれる前はよく二人で出かけた。

仲が良くて毎日楽しかった。

そんな事を思い出してしまった。

「夏月…」

「え?」

突然、宇宙が私のベッドに入って来た。

「な、何?」

「美術館付き合うからさ、たまにはしようよ。」

「え、嫌だ。」

宇宙は私の身体を無理矢理抱きしめてくる。

「浮気してもいいってこと?」

そんな事を言われて身体を許すなんてどうかしてるとしか思えなかったけど…

これ以上宇宙と仲違いしたくない。

それになんだか私も今日はそんな気分だった。

日向くんとお茶なんかしたからなのか
誰かに触れて欲しいと思ってる。

「本当に浮気しない?」

「やらせてくれたら絶対しない。」

私はその夜、宇宙に身体を許した。

何年ぶりかの事で自分の身体から
ホルモンが分泌されて綺麗になってく気がした。

「相変わらず感じやすいな。」

宇宙の指が恋しかった。

「宇宙…」

名前を呼ぶと宇宙が私を抱く手に力が入った。

私は店主の美術館のチケットの効力に感謝する。

こんなに簡単に昔に戻れるなんて
まさに魔法のチケットだと思った。


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