恋愛預金満期日 ~夏樹名義~
 彼は私を助手席に乗せ、私アパートの方角へと車を走らせた。


 車の車種は分からないが、CMで最近見る高級そうで白い車の中は綺麗に整えられていた。


「急に伺って、ごめんなさい…… 怒っています?」


「怒ってなんかいないですよ。嬉しかったです。でも、連絡ぐらいくれても…… 準備という物が……」


「お休みだし、お出掛けしているだろうな? と思ったから…… まさか、あんな怖い顔するなんて思わなくて……」


「怖い顔していました? 寝てたからかな?」
 彼はそう言ってくれたが、私の不安は消えなかった。



「電池なら直ぐそこで買えるのに、家までは距離ありますよね……」
 私は申し訳ないと思った。

「いいですよ。買い物にでも行こうと思っていたので……」


「何買うんですか?」


「ネクタイとか……」

 私はこんままスキッリせず彼と別れてしまうと、気になってしまいそうで嫌だった。


「えっ…… 私も一緒に行っちゃダメですか?」
 私は運転する彼を伺って見た。


「あっ。いいですけど…… いいんですか?」


 私が聞いたのに、逆に聞かれてしまいよく分からなくなってしまったが返事をした。


「ええ」

 私はなんだか少し嬉しくなってきた。
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