恋する猫と魔法使い
ご主人様の裏の顔を知るとき
【カンナ】
しかし、ナツカは浮かない表情をしているように見える。
その表情を見るたび、アタシは心を打たれる。
ナツカのアタシに触れている手から悲しみが移ってしまいそうになるくらい。
でも、ナツカは家に着くとさっきまでの浮かない表情が嘘だったかのように笑っている。
アタシはナツカの様子を不思議に感じてついその表情を見入ってしまう。
だけど、ナツカのその笑顔は幸せそうではない。
どちらかというと、人の不幸を笑っている感じだった。
ナツカは不思議そうに見ているアタシの様子に気づき言った。
「何か俺に言いたいことがあるんでしょう?言ってごらん。」