恋する猫と魔法使い
彼の言葉の意味はよくわからなかったがとても安心した。
彼はアタシをそっと離し肩に手を置いて行った。
「リゲルに聞こう。今日は空気もいいしリゲルが顔を出すと思う。」
アタシは彼の言葉に首を傾げた。“リゲル”という言葉が聞きなれなかったから。
「リゲルさんは、友達ですか?」
彼はアタシの言葉に無邪気に笑い出し言った。
「友達かぁ…、だったらいいね。でも、リゲルはこの世にいないんだ。」
アタシは彼の言葉に更に首を傾げる。
彼の表情は笑っていたから。もし、リゲルさんが死んでいた人だとしたら悲しい顔をするはずだから。
彼は不思議そうにしているアタシをよそに倉庫から出してきた大きな筒状のものを慣れた手つきで立て始める。