恋する猫と魔法使い


「へぇ~、そうなんだぁ」


彼の話はアタシの知らないことばかりでとても興味深かった。

話す時間はあっという間に過ぎ、気が付くと空が暗くなっていた。

彼は立ち上がり大きな筒状のものに目を覗かせ“リゲル”という名前の星を探し出す。

アタシの目に映る彼の横顔は初めて会ったときのナツカくらい素敵なものに見えた。

アタシは初めて見る星を見るたび、ナツカといる世界では星は見えるのかと考えていた。

魔法界の空なんてしっかり見ないから星があったとか覚えていない。

だからその分この人間界の空が美しく、恋しく思えてしまうのかもしれない。

アタシがボーっと立っていると彼がアタシに明るい声を掛け魔法界では見たことのないくらい幸せで眩しい笑顔でアタシに話しかける。ゾラ君とかは笑うのかもしれないけど・・・

< 37 / 71 >

この作品をシェア

pagetop