恋する猫と魔法使い
目が覚めるとアタシはナツカの膝の上で眠っていた。

ナツカがアタシを見る様子は不機嫌そうに見える。
 

「随分帰りが遅かったな。人間界は楽しかったか?」
 

ナツカと同じように言葉を離せないアタシはただ『ニャー』と鳴いた。

ナツカはそんなアタシを睨んだ目で『目障りだ』と言って部屋を出ていく。
 

――待って、どこ行くの?
 

そんなこと人間の姿だとしてもナツカには聞けない。

だって、彼は“黒の魔法使い”だから

ナツカに余計なことを言ってしまうとアタシはナツカの魔法でちりにされてしまうかもしれないんだ。

それからアタシはナツカがどこに行くかなんとなくわかっていたんだ。
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