恋する猫と魔法使い
始まる闇
【カンナ】
アタシはゾラ君の差し出した手を取って立ち上がる。
ゾラ君は絵本に出てくるような王子様みたいな笑顔でアタシにニコリと微笑んでアタシの手をグイッと引いた。
そして、指をパチンと鳴らして砂漠に場所を変える。
砂漠の上には小さなテントが一つ。
ゾラ君はそのテントの中に吸い込まれて行くように入っていく。
そこはゾラ君の家なのだろうか。
アタシもゾラ君に続いてゆっくりとテントの中へ入っていく。
テントの中にはたくさんの鏡があってアタシはその鏡を見つめて首を傾げる。
ある鏡の向こうからゾラ君の声がしてその鏡に向かってアタシは走り出した。
「白猫ちゃん、おいで」