恋する猫と魔法使い
――え…ナツカって黒の魔法使いだよね?


ゾラ君の呟いた言葉に疑問を感じた。

だって、ナツカは黒の魔法使いで人の不幸を楽しんでいてこの戦いの間に入るとは思えない。

 
「人間性だよ。ナツカは自分勝手で他人に興味がない。自分の居心地が悪かったら止めに行く。ナツカは冷静だからルカさんの肩に手を置いてルカさんを我に戻すんだ。」
 

ゾラ君の緊張している心臓の音が聞こえる。
 

「ここもいつまで持つだろうか…。」


その声でゾラ君がどんなに不安であるかが伝わってくる。

ゾラ君は胸元からそっと、杖のようなものを取り出し、アタシの前でクルッと振って見せる。


――あれ・・・?なにが起きたんだろう


不思議な表情をしているであろうアタシにゾラ君はただ、不気味な笑みでアタシを見つめる。
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