恋する猫と魔法使い
ペリドットに触れていると俺は安心するんだ。

ペリドットの石言葉には“安心”という言葉がある。

このカードには俺の今までの不安が詰まっている。

このカードもいつまで持つのかわからない。徐々にペリドットにヒビが入り始めているから。

ペリドットが割れた瞬間、俺の今までカードにため込んでいた不安はいつか空を埋め尽くし、昼も夜もなくなる。

その時、宇宙が終わりを告げるんだ。

不安におびえている俺の目をミアが大切なカードを加えてじっと見つめる。


「ラピス・・・」


ラピスは俺が今、愛している人間の彼女だ。

ラピスと初めて話したとき、ラピスの名前の由来を知った。

そして、次の日に俺は魔法道具屋でラピスラズリが埋め込んであるカードを買った。

このカードはなんの魔法にも使えないが、俺はそれを持っているだけですごく安心するんだ。

俺はラピスラズリの色をしばらくジッとみて覚悟を決めた。
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