恋する猫と魔法使い
ネルは頭を上げ、俺に落としてしまった人間の魂の行方について聞いてきた。


「ゾラ兄殿…。わたくしが落としてしまった魂はいったいどこへ行かれるのですか?」


ネルの質問に俺は記憶をたどり思い出そうとし始めた。

確か、魔法使いの種類の中で星使いはあらゆる出来事で命を落としてしまった人間の魂を星の形に変え、また人間へと生まれ変わるまでの時間だけ空に置いておく。

しかし、今回のように魂を落としてしまった場合、その魂たちは魔法使い界ではこぼれ星と呼ばれ、人間界では流れ星と呼ばれるものになるんだ。

俺がそんなことをネルに伝えようと口を開きかけるとネルはまだ落としてしまったことを引きづっているようなのか涙目だ。

俺はどうしたらネルが笑ってくれるのか一生懸命に考え始めた。

魔法使いの男であれば、ナツカやルカさんは別として誰でも笑顔の魔法くらいは使えなくてはならない。

考えていると、俺の手の中に吸い込まれるようにしてアランがルカさんに向け飛ばしたであろう願い玉が飛んできた。

俺は手の中に入ったそれを見つめ考える。
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