恋する猫と魔法使い
願い玉はどんなものでも映し出す鏡のような魔法道具の種だ。

俺は願い玉を目の前にあった、水たまりの上に打ち付けた。

願い玉は水たまりの上で綺麗に砕け散る。

砕け散った破片は俺がさっき、描き出した星空を映し出した。


「ネル、これをみて」


ネルはそっと水たまりに目を向け映し出された星空を見ると笑顔になった。


――やっぱり、ネルも女の子なんだな


俺が人間だったころ、女は綺麗なものを見ると笑顔になると学んだ。


「ゾラ兄殿、とても素敵です。」


そう言ってネルは俺に笑顔を向ける。

俺の方を見た時、ネルの目に俺が持っていた地図が映ったのか質問してくる。


「ゾラ兄殿、どちらかへ行かれるのですか？」


ネルの言葉に俺はハッとして用事を思い出す。

今からナツカのところに向かうとして、俺の足でナツカのところにたどり着くのは一体いつになるのだろうか。
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表紙・目次

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