恋する猫と魔法使い
先ほどまで隣にいたミアはもう先にナツカの元へ行ってしまった。

俺一人ではナツカのところに行くのは難しい。

もし、仮に俺一人でナツカのところへ向かったとしても、また世界が歪んで道が大きく変わるかもしれない。

そのとき俺は道に迷うだろう。

ネルは固まる俺をただじっと見ている。

俺は我に返り、ネルの肩に手を置いた。


「ネル、俺の翼になってナツカのところまで連れて行ってくれないか?」


ネルは目をパチパチとさせたまま俺に対して何も反応することない。
それもそうだ。だって、俺はネルに『俺の翼になって・・・』と言ったのだから。


「はい、承知いたしました。ゾラ兄殿をナツカ様のところまで連れてゆけばいいのですね。」


俺はネルの言葉が俺の考えていた答えと違って目を丸くして驚いてしまった。

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