恋する猫と魔法使い
上品そうな黒猫が前足で円を描き人間界の様子を映し出す。


「今日からね、3週間以内にナツカくんの元を離れればあなたはナツカくんの使い魔候補から外れる。ナツカくんのことだからその場の思い付きであなたを選んだんでしょう？」


上品そうな黒猫にそんなことを言われアタシは言い返す言葉を失ってしまう。


――確かにアタシをここに連れてくることを決めたのはナツカの気まぐれだったのかもしれない


だけど、アタシの心にはナツカ以外の飼い主なんていなかったんだ。

上品そうな黒猫がクスクスとアタシのことを笑っているのをアタシは知らないふりをして過ごすことだけしかできない。

ここで彼女に逆らってしまうとアタシのご主人様のナツカをまた困らせてしまうかもしれない。
困らせてしまうだけではない。
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表紙・目次

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