朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令


「や、やめて伯爵」

「この通りです。この私の命だって差し上げます。どうか……」

「そんなのいらないわ。お願いだから顔を上げてよ」


必死な伯爵の腕をつかみ、力ずくでその場に立たせた。すると彼は私の目を真っ直ぐに見てこう言った。


「あなたができないのなら、私がやります」


その目は決意に満ちていた。


「これは王家の誇りをかけた仕事。手を出すべきではないと思っていましたが……」


私から毒薬を奪い返そうとする伯爵。


「ちょっと待って。ねえ、お願い。少しでも休んで、冷静になってから計画を立てましょう。ね」


説得すると、ボートレイト伯爵は納得したようにこくりとうなずいた。そのままうなだれてしまう。まるで泣きだしそうな顔で。

泣きたいのはこっちよ。こんなことされたら、拒否できないじゃない。きっとアミルカ王家みんなが伯爵と同じような気持ちなんだろう。

どうしてみんな自分のことばかり言うの? 私の気持ちはどうなるの?

そもそも、最初から人殺しなんてしたくなかったの。でも敵国の王なら仕方ないと思ってここへ来た。でもその敵はとても手強くて。

とても美しくて、意地悪で、たまに優しくて……とても、寂しそうなひと。

私、エドガーを殺したくない。本当は、殺したくなんてない。それなのに……。


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