朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令
「私、読みたい本があるんだった。じゃあ」
その場にいることに耐えられなくて、早足で部屋とは真逆の図書室の方へ向かった。
読みたい本だって。そんなものないくせに。そもそも、シャイレンドルフの本なんて読めるわけない。子供向けの絵本が精いっぱいだわ。
「はあ……」
図書室に至る少し前、絵画が所狭しと飾られている壁に挟まれた廊下で、足を止める。ひとりきりで薄暗い廊下に立っていると、まるで絵の中の人物たちににらまれているような錯覚に陥った。
「なに沈んだ顔してんだよ、お姫様!」
「わあぁぁ!」
突然後ろから抱きつかれて、思わず叫び声を上げてしまった。
「離してよ!」
ポケットに入ってる毒薬、ぶちまけてやろうか。思い切り抵抗すると、無礼者はあっさりと手を離す。振り返って顔を見ると、そこにはあんまり似ていないエドガーの弟が。
「なにするのよ」
相手につられてすっかりタメ口。きっとにらむと、ラッセルはいつものように何を考えてるのか良くわからない顔で笑った。
「お姫様がメシも食わないし、葬式みたいな顔で落ち込んでるから元気づけようと思って」
こんなことで元気が出るか。好きな人にされるならともかく。
「私は大丈夫。それより……」