朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令


振り下ろされたナイフをピストルで受け、はじき返す。引き金を引いたのか、銃声が山の中に響いた。

ナイフを持った男がふらりと倒れるのが見えた。すごい、センテム。一瞬にして敵をやっつけちゃった。


「王女、無事ですか!」


ピストルをしまってロープを持ちなおしたセンテムが崖の上から顔を出す。


「なんとか!」


ぶらぶらしていた足を、もう一度岩肌につけようとする。そのときふと足元を見ると、フェロミアがすぐそこにあった。


「もう少しだわ」


何とか飛び出ていた岩の上に乗る。片手でロープを持ったまま、もう片方の手でそっとフェロミアの細い茎を握った。

少し力を入れるとプツリと音がし、茎は岩から離れた。大きな花弁は紫色だけど、日の当たり方で緑や青、赤と、色々な色が混じって見える。不思議な花だ。


「綺麗……」


その花を見ていると、不思議な気持ちになった。これで私が王妃になれば、エドガーの治世の繁栄は約束されるのかしら。

すうっと頭の靄が晴れていくような気がする。

ごめんなさい、お母様。私やっぱり、エドガーが好き。彼の力になりたいと思ってる。寂しい時には、傍にいてあげたい。

裏切り者と呼ばれても構わない。私、暗殺なんてできないわ。やりたくないのよ。


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