朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令
「いやああっ」
膝を抱えるようにしゃがみこむ。なんという醜態。国王だけでなく、周りには兵士もいたというのに。
羞恥で震える肩に、突然何かがかけられた。驚いて見ると、それは国王の白いマントだった。
「失礼」
低い声がすぐ近くで聞こえたと思うと、ふわりと体が宙に浮いた。国王が私を抱き上げたんだ。あまりに軽々とした動きだから、抵抗のしようもなかった。
「わああっ」
びっくりして大きな声を上げると、国王が私の耳元で、ごく小さな声で言った。
「うるさい女だな。しかもどんくさすぎ。誰もお前みたいな子供、いやらしい目で見るわけないだろ。これ以上恥かきたくなきゃ、静かにしてろ」
うるさい。どんくさい。子供。連発される悪口が、胸にぐっさりと突き刺さった。
今の、この人が言ったの? 嘘でしょ。さっきまでの爽やかで優しい国王と、本当に同じ人?
周りは彼が何を言ったのか、聞き取れなかったみたい。何故かとても微笑ましい光景を見るような温かい目で私たちを見ている。
「着替えはもういい。荷物も開封せず、そのまま城に運べ」
国王が自国の兵士たちに指示する。
「しかし、陛下」
「花嫁が祖国のものを持ちこむのは禁じられており……」
「俺が良いと言っているんだ。さっさと運べ。ぐずぐずしていると、狼たちが倍の群れを引きつれて戻ってくるぞ」