朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令
意見しようとしていた女性たちや兵士の顔色が変わった。誰だって、一日に二度も狼に遭遇したくはない。
「ご苦労だったな。世話人以外は国に戻れ。王女はたしかに譲り受けた」
国王は片手で私を抱き上げたまま、兵士の差し出した書類にさらさらとサインをした。
「では……お元気で、王女様」
わずかな積み荷を降ろし、兵士たちはゆっくりと馬車を走らせ始める。その姿はすぐに見えなくなった。
ああ……行ってしまった。なんて心細いんだろう……。
「そんな顔をするな。狼も追い払えない無能な兵士、別にいなくても構わないだろう」
またぼそりと、国王が小さな声で言った。
「王女の護衛があんなへっぽこ兵士じゃな。この戦争が楽勝だったわけだ」
な、なんですって。この人、ひどい! 意地悪だわ!
「は、離してください!」
今からでも遅くない。祖国へ帰ろう。この結婚はなかったことにするんだ。
だって、こんな人と一緒にいられない。しかも強そうだから、仇討ちもできそうにないし。
「何を言ってるんだ、ミリィ王女。あなたは俺の大切な花嫁。もう離しはしない」