朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令
難しいことをおっしゃる。結局急かされてたくさん食べられないまま、お風呂に向かった。と言っても今まで使っていた来客用のバスタブではないみたい。
「今日は特別に王族用の浴場を使うようにと言われております」
案内された先には、だだっ広い脱衣所が。ツルツルの大理石の床と壁。
「お、落ち着かない~……」
ドレスを脱ぎ裸になると、ルーシアが前を隠す布を持ってきた。それを受け取ると他の使用人が彫刻が施されたガラスの扉を開ける。
「まあ、広い」
またもや大理石の床。湯気で白く煙るそれを進むと、大理石でできた湯船が。私ひとりじゃもったいない。二十人くらい一気に入れそう。
広い室内のところどころに可愛らしい花を模した照明器具や動物の彫刻が飾られている。そして、湯船の中はと言うと……。
「わあ、なにこれすごい!」
空に浮かぶ雲のような白い泡で覆われる水面。その上にはさらに、赤やピンクの花びらが散らばっていた。お風呂に花びらを浮かべることはアミルカでもしていたけど、後片付けが大変だという使用人の愚痴をうっかり聞いてしまってから、自粛していたんだよね。
「ありがとう、ルーシア。すごく素敵」
湯気と一緒に、花の甘い香りが足元から全身を包む。何も要求していないのに、こんなに贅沢にお花を使ったお風呂を用意してくれるなんて。