朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令


早速布をルーシアに預け、湯船に入る。泡が揺れ、花弁が踊る。


「綺麗になれそうな気がする」

「王女様はもう十分お綺麗ですよ。そうそう、このお花、国王陛下が用意してくださったんですよ」

「えっ? エドガーが?」


浴槽一面に浮かぶ色鮮やかな花びら。これはもしや……。


「秘密の温室の花?」

「みたいです」

「へええ」


エドガー自ら育てた花の花弁。そう思うと一層美しく、香りも強くなるような気がする。

夢じゃないんだなあ……。私、本当にあのエドガーの妻になるんだ。この国の王妃になる。

そう考えると、鼓動が早くなった。胸がときめくって、こういうことを言うのかしら。

ゆっくり体と髪を洗い、しばらく浴槽に浸かっていると、ルーシアが布を持ってきた。


「王女様、そろそろ上がらないとふやけてしまいますよ」


私、そんなに長い間浸かっていたのかしら。気持ちよくて、ずっとこのままでいたいような気がしていたけど、たしかにお湯が冷めてきたような気がする。


「はい、上がりますよ……」


ざぶっと音を立てて立ち上がる。体のあちこちに花弁が張りついてきた。一度綺麗なお湯で流した方が良いわね。そう思っていると。


「ん?」


カサカサと言う音が聞こえたような気がして振り向く。変ねえ、こんな湿っぽい場所で何がカサカサいうのかしら、って……。


< 157 / 230 >

この作品をシェア

pagetop