朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令
今度は自分の兵士たちに聞こえるような明朗な声で、爽やかに笑って言った。
兵士たちも笑顔になり、さっさと新しい馬車を運んできて、積み荷を積みなおした。
こ、この国王、とんだ猫かぶりだわ。自国の民の前では良い顔をして、敵国の者には容赦ない。
新しい馬車に私とボートレイト伯爵を乗せ、国王は乗ってきた馬で先頭を走ることに。
「伯爵、あの国王只者じゃないわ」
伯爵に耳打ちする。
「ええ、狼を前にして全く怯む様子を見せなかった。たしかに只者じゃありませんな」
そういう意味じゃないんだけど。
「とにかく、荷物検査が適当で助かりました」
伯爵がホッと息をつく。そうだ、仇討ちのための道具が全部持ち込み禁止になるところだったんだ。国王のおかげで、それらを持ち込むことに成功した。
でも、あの国王、エドガーっていったっけ。殺しても死ななそう。あんなに裏表の激しい人と表面上は仲良くして、裏で仇討ちしなきゃいけないなんて……。
自分がこれからどれだけの困難にぶちあたるか想像したら、思わず涙が出そうになった。