朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令
「いたっけ、そんなやつ」
「いたじゃない。けっこう目立ってた」
「お前しか見てなかったよ。で、その女がどうかしたか?」
前半のセリフにときめいている場合じゃない。
「どうかしたってわけじゃないんだけど、けっこう印象深かったなと……」
綺麗な顔で、私をにらみつけていたのよね。でもそれだけで彼女が犯人だと決めるには早すぎる。
「ふうん。心に留めておく」
エドガーも深く追及しなかった。
「とにかく、明日は儀式の本番だ。人が多く集まる。その人に紛れてまた狙われるかもしれない。注意しろ」
「ええ~っ」
注意してたって、飛び道具で狙われたりしたら最悪。避けられないわよ。人込みで弓矢やピストルを取り出す刺客なんていないと信じたいけど。ちょっと楽しみだった結婚の儀が、途端に憂鬱になっちゃった。
しょぼんとうなだれた私の頭を、エドガーがぽんぽんとなでる。
「俺がお前を守るから大丈夫だ。明日は一時も俺の傍を離れるな」
そう言うとエドガーは額に軽くキスをする。
「じゃあお休み。また明日」
そっとまぶたを閉じる。すると触れるだけのキスが降ってきた。それも、たったの一回だけ。
もっと欲しがっている自分にびっくりしながら、目を開ける。エドガーは薄く微笑んでいた。