朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令
ルーシアに話しかけられてハッとする。いけないいけない。ちょっと感傷的になっちゃった。
祖国を捨ててもエドガーについていく。そう決めたのは自分だもの。めそめそしてちゃダメだわ。
「ボートレイト伯爵も見たかったでしょうね、王妃様の晴れ姿」
体調を崩して国へ帰ったことになっている伯爵の事まで思い出してしまい、今決意したばかりなのにもう泣きそう。
「うわーんやめてよ~」
まだ始まっていないのに、今から泣いてたら変な人じゃない。
イスに座ったままバタバタしていると、ガチャリと音がして、控室のドアが開いた。
「王女様、そろそろお時間です」
入ってきたのは今日もいかつい顔のセンテムだった。いつもキリッとしている彼だけど、私の姿を見ると優し気に微笑む。
「これはこれは。いつもとは別人のように綺麗ですね。陛下が羨ましい」
恥ずかしそうにもそもそとお世辞を言うセンテム。
「いつもは綺麗じゃなくて悪かったわね」
「いやいやいや、そんなわけないじゃないですか。あのですね、今日はいつもより大人っぽいというか、ええと」
「はいはい、もういいわよ。エスコートよろしくね」
履きなれない高いヒールを履いているので、転ばないようにセンテムの腕を借りる。侍女たちがトレーンやベールを手分けして持ち上げた。