朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令
結婚の儀は宮殿の端にある。参加するのは王族や貴族、使用人、近隣諸国の来賓といった限られた人々。市井の人々は入ることは出来ない。
その代り、儀式を終えた後は宮殿の庭を解放し、誰でも入ることができるようになる。幸せのおすそ分けとして、無料でお土産を配ることになっている。その中身はパンやお菓子、干し肉に少しのコイン。
これはエドガーが戦争で傷ついた人々に少しでも喜んでもらおうと考えたことみたい。今までの伝統では王族は貢物をもらうだけだったから、一部の貴族からは反対意見もあったそう。
そりゃあ外国のお客様のもてなしの準備もあるし、そんなものまで準備していたら私のドレスを一緒に考える暇なんてないわよね。最初の頃に放置されていると思った自分が恥ずかしい。
緊張しながらゆっくりと足を進めると、ドーム型の聖堂の前にたどり着く。その扉の前には、親衛隊を引き連れたエドガーが立っていた。
その姿に息を飲む。絹でできた光沢のある軍服は白。いつもの黒のアクセントが付いたものではなく、全身が白だ。ボタンや袖の折り返し、襟の部分の装飾が金色に光っている。頭には髪の色とおそろいの黄金の王冠が。たくさんの宝石がちりばめられている。
右肩から胸には金色の飾緒が。腰には儀式用の細い剣が白い鞘に収まっていた。白いマントのすそには金の糸で細かい刺繍がされている。全身から発光しているように、陽光を受けて光り輝くエドガーに目を奪われて声を発することもできない。