朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令
中央の通路は人が二十人くらい横に並べるほどの幅がある。その両側に長椅子がずらりと並んでいた。総勢二百人ほどの参列者が一斉にこちらを振り返る。
二人で一礼し、ゆっくりと中央の通路を歩く。いつの間にかトレーン部分を持ってくれていた侍女たちはいなくなり、ずしりと全身が重くなった。
自分たちに視線が集中する。緊張で、たちまちドレスの中は汗びっしょり。けれどなぜか顔だけはさらさらしていた。平気な顔を作り、前だけを見て歩く。
参列者は儀式の途中で無駄話をしてはいけないという決まりがあるので、聖堂の中は静かだった。けれど二百人分の息遣いが聞こえるようで、結局緊張する。
ここで間違ったら大恥だわ。しっかりしなくちゃ。転ばないように注意して歩き、足が痛くなってきたところでやっと神官が立つ説教台の前にたどり着いた。
大きな赤い帽子を被り、白いローブを被ったお年寄りの神官の背後には、見事なステンドグラスが。紫色に見えるけど実は七色に輝く国花、フェロミアが何百輪と一面に描かれている。
今日初めて聖堂に入ったので、このステンドグラスを見るのも初めて。なんて綺麗なんだろう。
「おい、ぼんやりするな」
ぼそっと耳打ちされて、ハッと我に返る。いけない、ステンドグラスに見惚れている場合じゃなかった。