朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令
「でもあそこまでは間違えずによくやった」
「はい……」
「こんなことで落ち込んでいる暇はない。行くぞミリィ。国民が待っている」
このあと、宮殿の中央の建物にある一番大きなバルコニーに出て、庭園広場に集まった国民にこの姿をお披露目するという役目がある。そこで来賓のお酌を受けて挨拶をしなくてはならないのでなかなか忙しい。
歩きなれない靴でよちよち歩いていると、横を歩いていたエドガーが突然すぐ後ろに立った。
「失礼、王妃」
「えっ」
エドガーの美しい横顔が目前に迫ったと思ったら、ふわりと体が浮いた。なんと、この重たいドレスを着た私を軽々と抱き上げている。
「ちょ、ちょ、ちょ……」
取り巻きのセンテムやルーシアが生暖かい目でこちらを見てるってば! 恥ずかしいので降ろしてもらいたいけど、落とされると怖いので結局エドガーの肩に抱きつくしかない。
「この方が早いな。皆の者、参るぞ」
「はい、国王陛下!」
誰もツッコまないし~! って言うか、国王に「見ていて恥ずかしいのでやめてください」なんて、誰も言えないわよね。
仕方ない。陛下の言うことを聞くとしますか。誰もツッコまないのをいいことに、遠慮なくエドガーに寄り添った。彼の腕は見た目よりも力があって、とても安心できた。