朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令
花火が終わり、辺りが暗闇に包まれる。ランプの灯りを頼りに国民たちが家に帰っていく。それを最後まで見ないうちに、退席するように促された。
広間にいた偉い人たちもそれぞれ自分の部屋に帰っていく。その中に、ラッセルの姿があった。誰とも一緒じゃなく、ぽつんとしている姿は少し寂しそう。
「やっと終わったな。お疲れさん」
私たちが広間に入ったのに気づき、ラッセルはそう言う。口元は笑っているようだったけど、いつもと少し様子が違う。かなりお酒臭い。飲みすぎて気持ち悪くなっちゃったのかしら。
「どこか調子が悪い? それとも疲れた?」
尋ねる私の横で、エドガーが咳払いした。ラッセルと話してほしくないという意味だろう。
「可愛いお姫様が兄の物になってしまったから落ち込んでいただけ」
「またそんな冗談を……」
「本気だよ。エドガーはいつも俺から、何もかも奪っていく」
ラッセルの顔から笑みが消えた。エドガーとにらみ合うように視線を絡ませる。傍にいたルーシアやセンテムも私と同じようにハラハラした顔をしていた。
「父からの愛情も、国民からの愛情も。王位も、可愛いお姫様も、全部。俺は何をやってもエドガーに何一つ敵わない」
悔しそうに眉間にシワを寄せるラッセル。彼のこんな顔を見るのは初めてだった。