朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令
「こんなに出気の良い兄を持った俺は不幸だよ。ま、途中でやさぐれて努力しなくなった俺も悪いんだけどさ」
「ラッセル様、酔っていらっしゃるのですね。誰か、お部屋までお連れして」
「俺は正気だよ。大丈夫、喧嘩したりしないさ。幸福な兄に愚痴を言っているだけじゃないか」
ラッセルを退場させようとしたルーシアだけど、それ以上は強く言えないらしく、黙ってしまった。
「……俺がお前から全てを奪っていくだと?」
今度はずっと黙っていたエドガーが口を開いた。一層重い緊張が走る。
「お前は俺が望んでも手に入らないものを最近まで持っていたじゃないか」
それはきっと、母親の愛情。ラッセルのお母さま、前王妃は戦時中に亡くなってしまったけど、エドガーに比べれば母親と一緒にいられた時間は長かったはずだ。
「じゃあ、お互い恨みっこなしね。仲直りしましょうよ。今日からは兄弟仲良くやっていきましょう。ね」
にらみあう二人の中に入り、片手ずつ取って無理やり握手させようとする。しかし、同時に振り払われてしまった。やっぱり無理か。
「やめろよ、気持ち悪い」
「そうだ。ふざけるな」
二人に同時に怒られた。すると、センテムがぷっとふきだす。
「なんだ」
「なんだよ」
「いや失礼。お二人とも怒り方がそっくりだなと思いまして」