朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令



「では私はこれで失礼いたしますわね、陛下」


ルーシアが支度を済ませた私を寝室にひとり置いて行ってしまう。前国王と王妃の寝室を模様替えしたという部屋は、真新しい壁紙と絨毯のにおいがしていた。

今夜からここで毎晩エドガーと一緒に寝るのね。二人用の大きなベッドが部屋の奥にある。その手前にエドガーが立っていた。ガウンの隙間から鎖骨がのぞいている。


「おいで」


ゆっくりとベッドに腰かけ、私を手招きする。

新品のシルクの寝間着の上にガウンを羽織り、昼間とは対照的なペタンコの靴を履いた私は、ぎくしゃくとエドガーに歩み寄る。


「右手と左手が一緒に出てる」


そう笑いながら、エドガーは少し立ち上がり、近づいていた私の手を握った。


「待ちきれない」


そう言うと、さっと私を横抱きにする。昼間にされたときとはドレスの重量が違う。そのせいか、私はあっと言う間にベッドに仰向けに沈められていた。

もっと昔は、使用人が王と王妃の夜の営みを近くで見守っていた時代もあったという。きっと、使用人を人間とは思わなかった時代だったんだろう。今はそんなこともなく、完全に二人きり。

エドガーは私が求めるまでもなく、ベッドサイドにあったランプの灯りを消した。部屋の中はところどころでぼんやり光る蝋燭の灯りだけとなる。視界が暗くなると、ドキドキしていた胸が余計に苦しくなった。


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