朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令
「たまには楽しみが必要ですものね。考えておきます。けれど、あまり期待はしないでね。国王陛下は戦争からの復興を第一に考えておられるようですから、そちらまで予算が回るかどうか」
「そうですわよね」
「ご立派なお考えですわ」
それ以上なにもリクエストされないように逃げるように建物から出る。廊下を歩き出すと、後ろから声をかけられた。
「王妃様」
「はい、なんでしょう?」
振り返ると、三十代くらいの貴婦人がにこにこして立っていた。大きな羽根の付いた髪飾りをつけ、赤い髪をぐるぐるの縦ロールにしている。たしか、大臣補佐官の貴族の奥さんだ。
初めてここに来て、どう立ち振る舞ったら良いかわからない私に、この国の貴婦人の在り方を優しく教えてくれた人。なので、少し好感を持っていた。
「あのう、今度国王陛下が大規模な人事異動を考えておられると聞きまして」
「ああ……決定ではないみたいですけどね」
今の人事は前国王が任命したものなので、エドガーの気に入らない人選もあるみたい。この際ジジイは一掃して、若い大臣たちで国を動かしたいとか、絶対他の人には言えないようなことを言っていた。
「それでですね……大変厚かましいとは存じますが……」
「はい」
「私の夫を大臣に任命していただけないかと……とても真面目に働きますわ。きっと国王のお役に立つはずです」