朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令
「センテムは片想いの相手がいるんですよ」
ルーシアがぼそっと言う。それを聞き、何も食べていないセンテムがむせたように咳き込んだ。
「え? だから結婚しないの? ねえねえ」
「王妃様、お食事中です。そんなに乗りださないで……」
「身分違いの恋なんですって。私もそれ以上は知りませんけど」
身分違いの……そうなんだ。センテムが軍人、相手の人がもっと地位のある人なのか女性の僧侶なのかただの市民なのかわからないけど、どっちかの親がなかなか許してくれそうにないのね。だから強引にアプローチしたくてもできない、と。
「切ないわね」
センテムは真っ赤になってうつむいてしまった。いつもの強靭な彼とは別人みたい。
そうよね、結果的に好きな人と結婚できたんだもの。私は幸せよね。
食後のお茶が運ばれてきたとき、急に部屋の扉が開いた。びっくりすると、そこにはまだ軍服を着たエドガーが。
「ミリィ、あったぞ」
「あったって? いったいどうしたの?」
「お前当ての手紙だ。ほら」
エドガーが笑顔で巻物状になった手紙を取りだす。その紙の質感や結んである紐の模様で、すぐにそれがアミルカ製だとわかる。
エドガーは少し息を切らせているようだった。これを私に届けようと執務室から走ってきてくれたのね。