朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令
その途端、心細くてたまらなくなる。宮殿は多くの人がいるはずなのに、やけに静かだ。見られているような視線は感じるのに、誰一人バルコニーにも外にも姿を現さない。
普通、異国から花嫁を迎えるのならもう少し歓迎ムードがあるはずなんだけどな。しょせん私は敵国から来た人質というわけか。
招かれるままに宮殿の中に入り、奥へ奥へと誘導される。まるで私の帰りを待っていたようにちょうど良い温度のお湯が張られたバスタブで体をこすられ、また新しい下着を差し出される。
コルセットを付けると、シャイレンドルフ製のドレスを着せられて髪を結われ、薄く化粧をされた。
「こちらが王女様のお部屋でございます」
窮屈なドレスに高いヒールの靴を履かされ、よたよたと近づいたドアが開けられる。
「ボートレイト伯爵!」
アミルカではゆったりしたドレスとぺたんこの靴で過ごしていた私は、歩き始めの子供のようによちよちと伯爵に近寄る。立って私を出迎えた彼の後ろに、運び込まれた荷物が見えた。
この国での味方は、伯爵だけ。ああ、いてくれて良かった。
「では、失礼いたします」
「お食事の時間にまたうかがいます」
女性たちはそう言うと、そそくさとその場から去っていった。バタンと扉が閉まる音がやけに大きく部屋に響いたような気がした。