朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令
謁見の時間が始まる。貴族からそれぞれの領地についての困りごとや報告を聞く。書記官がそれを記録に残してくれるので、私はふむふむとうなずく。
「では、次──財務大臣、オーケン殿」
司会進行役に呼ばれ、王が座る舞台に続く階段の下に出てきたのは財務大臣オーケンだった。
うわ、私この人苦手なのよね。私のことを良く思っていないのはボートレイト伯爵の件で明白だし、誰かからちょっぴり賄賂を受け取った、みたいな話をしていたような。今度大臣を任命する際には一番に外されそうな人物。
「ごきげんよう」
心の中ではどう思っていようとも、他の人と同じように笑顔を作って挨拶する。
「私はこの度、全国民に知らしめたいことがございます」
知らしめたい? 穏やかではないものの言い方に、謁見の間がざわついた。もしや、ボートレイト伯爵のことを蒸し返すつもりかしら。今日はエドガーがいないと思って……。
「どういうことでしょう」
尋ねると、オーケンはたるんだ顔の肉を震わせながら大きな声で怒鳴るように言った。
「王妃を国家反逆罪に問いたいと思います」
ざわついていた謁見の間が、一層大きな波が立ったように騒々しくなる。
「どういうことだ!」
「王妃様になんてことを言う!」
傍聴席からヤジが飛んだ。一瞬にして空気が緊張する。
「黙れ! この者たちを見よ!」