朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令
「あなたは……オーケン大臣の御令嬢、オルティスタか」
エドガーがセンテムの剣をはじき返す。離れた二人はお互いに剣を向けたまま、女性を見る。
彼女は舞踏会でピンクのドレスを着ていた女性だった。やっぱり、オーケンの娘さんだったのね。いったい何をするつもり?
黙って見つめていると、彼女は優雅な仕草で小さなハンドバッグの中から優雅にハンカチを取りだす。それを開くと、透明なガラスの小瓶が現れた。
「それは、まさか」
思わず声が出てしまう。エドガーがわずかに眉をひそめた。
「王妃様のお部屋で手紙と一緒に見つかったものですわ。おそらく、毒薬かと」
一瞬なごんだ空気が、またざわつき殺伐としたものに変わる。
「オーケン親子、いい加減にしろ! それが毒薬だという証拠はあるのか?」
後ろの方からヤジが飛ぶ。オルティスタはひるむことなく、それどころかにやりと笑ってみせた。
「毒でないと言うなら、王妃さまが今ここで飲んで見せればいいのです」
飲めないのよ。開けたら気体になっちゃうんだってば。でもそんなことは言えず、唇を噛む。
「それは、香水なので無理です。お腹を壊します」
苦しい言い訳をする。と、オルティスタはにこりと笑って言った。
「では、誰か薬師をここに。この瓶の中身を分析してもらいましょう」
ダメダメダメ。蓋を開けた瞬間に薬師が死んじゃう。どうしよう。どうにかして取りかえさなきゃ。