朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令
「黙れ!」
ざわざわする群衆を、エドガーが一喝した。しんと静まる空気に、耳が痛くなりそう。
「センテム、お前はそれでいいのか」
顔を上げる。エドガーに問われたセンテムが、悲しく顔を歪めていた。
「お前、オルティスタ嬢を好いているんだろ。こんな風に利用されて、悲しくないのか」
なんですって。センテムの好きな人は、オルティスタだったの? 軍人と大臣の娘。そりゃあ少し身分が釣り合っていないような気がするけど。
「俺がオルティスタと結婚し、オーケンの傀儡となればお前は満足か? 愛人にしてやるとでも言われたか」
エドガーが皮肉を込めた目でセンテムをにらむ。なるほど、オーケンは娘とエドガーを結婚させ、自分の思う通りに国を動かそうとしていると、そう言いたいのね。娘が王妃なら、いくら悪いことをしたって仕事ができなくたって、大臣の座を外されることはないもの。
「そんなこと、彼女は言いません。ただ私は……」
そこまで言って、センテムは口を結んだ。自分が下手なことを言えば、オルティスタの立場が悪くなると思ったのかもしれない。
「剣をしまえ、センテム。お前に俺を殺すことはできない。そして俺は、ミリィ以外を王妃に迎えるつもりは、いっさいない」
エドガーは剣をしまうと、私の方へ歩み寄る。
「行こう、ミリィ。皆の者、すまなかった。今日のことは舞台を見たと思って忘れてくれ」
そう言いながら、私を優しく立たせてくれるエドガー。その目に、私を疑う色はなかった。それだけでホッとする。けれど。