朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令
「気をつけます……」
あのエドガーと同じ部屋になったらなったで、きっとものすごい緊張感だろう。でもいつか好機は訪れるはず。焦らずにやろう、いや殺ろうっと。
「それにしても国王は、噂に違わぬ良い男でしたな。しかし王女、惑わされてはなりませぬぞ」
「なにそれ。ないわ。絶対にない」
たしかに若くて容姿端麗、一見爽やかで人当たりも良さそうだけど、あれは演技なの。私はもう見抜いたんだから。
「本当は冷たくて意地悪よ。あんな人好きにならない」
どうせ私は人質なのよ。だからぞんざいな扱いをするんだ。
表向きは和平のための結婚。だけど本当は、私がいればアミルカ王家も無闇に反乱を起こしたりしないだろうと思ってるんでしょ。残念ね。お母様はまだ戦う気満々なんだから。
誰にもばれないで、疑われないように、国王を亡き者にしなきゃ。アミルカにいる家族と国民のために。
でも、なんでだろう。この素敵な部屋にいると、なんだか落ち着いちゃう。この部屋、私のために模様替えしてくれたのかな。
「こんな国に普通にお嫁に来られたら、幸せだったのにね……」
政略結婚でも、もう少し明るい事情だったならな。エドガー王も私が敵国の王女でなければ、もう少し優しかったかも。そう思うとなぜか切なかった。
「王女……事がうまく運べば、きっと幸せに暮らせる日が来ますから」
ボートレイト伯爵が眉を下げて私をいたわるように見つめる。私はそれに、作り笑顔で返すしかできなかった。