朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令


「母が死んでしまったとき、父はものすごく落胆していたよ。この温室をどうしようか迷っていたから、俺が譲り受けた。これが母の唯一の形見だ。他の物は継母に取り上げられ、捨てられてしまった」


そうなんだ。お母様の形見だから、誰も近寄らないようにさせて守ってきたのね。きっとここが幼少時代のエドガーの心の傷を幾度となく癒してくれたんだろう。あの星を見るための部屋と同じように。


「花は裏切らない。手をかけたらかけた分だけ美しく咲いてくれる」

「人は裏切るけど?」


だから花が好きなのね。別に皮肉を込めたわけじゃないのに、エドガーは苦笑した。


「そう。まさにそう思っていた。お前に出会う前は」

「え……」


無数の花に囲まれた花より美しい国王が、背を屈めて私の頬をなでる。条件反射のようにまぶたを閉じた私に、花の蜜のような甘い口付けが与えられた。


「お人よしで純粋なお前に、まんまと奪われてしまったな。命ではなく、心を」


うっすらと開けた目に、ブルーの瞳が映る。夜空の星を散りばめたように輝く瞳から目が離せない。

心を奪われたのは私の方よ、エドガー。あなたは最初から美しくて強かった。だけどとても寂し気で儚く笑うから……そんなあなたから目を離せなくなっていた。


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