朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令
「……あのなあ。いくらアミルカより復興が進んでいるとはいえ、まだ戦争の傷跡は深い。仕事がなくなり、あいつみたいに盗賊のようになってしまった国民は少なくない」
「そうなのですね」
「それもひとえに俺の至らなさのせいだがな。とにかくお前みたいな若い女がフラフラしてたら危ないんだよ、バカ。もう城の外に無断で出るなよ」
そっか、一見立ち直ったように見える国だけど、ここ以外はまだ復興が進んでいない地域もあるんだ。……って、ちょっと待って。このひと、今バカって言った?
「バ、バカって言うほうがバカなんだから──」
「はいっ、承知いたしました。申し訳ございませんでした!」
言い返そうとした私の口を、ボートレイト伯爵が後ろから塞いで謝った。
「俺の馬に乗れ、ミリィ。ジジイ、お前は一人でついてこい」
「は、はっ」
「宮殿に帰るぞ、皆の者。王女を送っていかねばならぬ」
王女と聞き、兵士たちが一瞬ざわつく。しかし彼らは余計な事は言わず、荷物をまとめて列を組み始めた。自分の元に引かれてきた白馬の手綱を握り、エドガーが私に手を差し出す。このまま素直に乗るしかないみたい。
彼は軽々と私をサポートして馬に乗せると、ひらりと後ろに跨った。
「帰ったら説教の続きだからな」
背後から威圧感満載の声が降ってきて、背中が震えた。ああ、大失敗だわ。こんなにすぐに見つかっちゃうなんて。