朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令
「とりあえず、部屋にいろ。夜になったら会いに行く」
エドガーはまだ仕事が盛りだくさんのようで、馬から降りた私にそう言った。
「あの」
「なんだ」
すたすたと行ってしまうエドガーのマントをつかむと、彼は呆れたような顔で振り向く。
「ルーシアや門番さんを怒らないでくださいね。私が勝手に抜け出したんです」
よく考えれば、色々な人が責任を問われる事態を引き起こしてしまったんだ。無事だったから良かったものの、怪我でもしてたら大変だった。
「へえ。わかった、あとでたっぷりお前だけ叱ってやるよ」
エドガーは珍しく眉を片方だけ上げてニヤリと歯を見せて笑うと、私の頭をぽんぽんと叩いた。思わずマントを離すと、それ以上何も言わずに去っていく。
なによあの悪い笑い方。初対面の時の爽やかな笑顔はやっぱりよそ行きなのね。
「王女様、ご無事でしたか」
エドガーに触られて乱れた頭頂部を手で撫でつけながら振り向くと、ルーシアが走ってきていた。先に城に着いた兵士から、事情を聞いてきたらしい。
「ええ、大丈夫。あなたにお咎めが行くことはないわ」
多分だけどね。
「国王陛下、怒ってませんでした?」
ルーシアは私と後ろにいるボートレイト伯爵を交互に見る。いつもクールな彼女が焦っているのを初めて見た。