朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令
「いいえ、大丈夫よ。みんな自分の仕事をしてちょうだい」
お昼をすぎたばかりで厨房は空いているけれど、すぐにお茶や夕食の準備が始まることだろう。それに、たくさん他人がいては都合が悪い。
「ですが」
疑うような目で私を覗き込むルーシア。もしや、私がしようとしていることがばれているのかしら。内心ドキッとしながら平気な顔を作る。
「あーじゃあ、二人くらい手伝ってもらおうかな」
そう、私がルーシアに提案したのは手作りのお菓子で国王陛下をもてなそうということだった。
お菓子を作るときにアミルカから持ってきた毒を入れるの。これでエドガーもイチコロね。完全に一人で作っちゃうと殺人犯が私だってすぐにばれちゃうから、この子たちにもいてもらおう。巻き込んでごめんなさい。
疑いの目が自分に向けられたら、すぐに宮殿から脱出する。そのための馬の手配と逃走経路の確保を伯爵にお願いしてある。今頃この国に散らばって潜伏しているアミルカの兵士と連絡を取ろうとしているはずだ。
「もっと早くこうしたら良かったわね」
材料を計量しながらボウルに入れていく。途中でスカートのなかからこっそり出した毒薬の粉をさらさらと混入させた。