朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令
その途端ボフ!と何かが爆発するような音がして、オーブンを温めていた使用人二人がぎょっとした顔でこっちを振り向く。わわ、やばい。これ、毒が変な化学反応を起こしてしまったのかしら。
「やだわ、誰かおならをしたわね~。はしたないわね、いいわ、黙っていてあげる。うふふ。」
我ながら下手なごまかしをしながら、やけくそでボウルの中をシャッフルする。幸いなことに、毒薬はそれ以上目立つ変化を見せなかった。
あっぶないあっぶない。粉が紫になったりしたらどうしようかと思ったわ。
まとまった粉と毒薬をまな板の上でこねる。これ、私の手大丈夫なのかしら。たしか口に入れなきゃ大丈夫な毒だっけ。あとでよく手を洗っておかなきゃ。
こねこねと生地をこねていると、突然厨房の正面ドアが開いた。
「あー腹減った。何かくれよ料理長……って、ん?」
広い厨房の片隅にいた私はふと顔を上げる。いきなり入ってきたその人物は、お茶の時間の準備をしている料理長たちを素通りし、なぜかこちらに近づいてきた。
「あなたはもしや、ミリィ王女?」
その人はそう声をかけてきた。エドガーより少し若い男性で、赤みがかった金髪にグレーの瞳をしている。整った顔をしているけど、エドガーほどではない。