朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令


「そそそそそれは、アミルカ秘伝の、お菓子がサクサクのフワフワになる粉で……」


サクサクなのかフワフワなのか、どっちなんだい。自分で言いながら突っ込んでしまうわ。


「へえ。じゃあ頑張って。お邪魔しました。また結婚式で」


納得してくれたのか、ラッセルはあっさりと小瓶を元のテーブルに戻し、料理長の元へ。そこでチーズやハムを切ってお皿に乗せてもらうと、ワインらしき瓶を片手に厨房を出ていった。

あっぶなかった~! この瓶、あとで割って埋めちゃおう。証拠隠滅しなきゃね。

それにしてもシャイレンドルフの人々って意外にのんびりしてんのね。絶対気づかれたと思ってひやひやしたけど、結局私の説明で納得しちゃったし。

これは楽勝かも。焼きあがってから誰かが勝手に味見してしまわないように気をつけなくちゃ。

途中で生地をこねたり伸ばしたり型抜きする間に使用人に参加してもらい、なんとか焼き菓子が完成した。焼きあがったお菓子はとても良い色をしていた。においも悪くない。

よし、あとはエドガーが部屋に来るのを待つだけね。毒入り菓子を誰かに食べられないように、そそくさとそれを自室に運び込んだ。


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