朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令
『国王です。敵国の国王、エドガーがあなたを花嫁にすると言っているのです』
『ほう、国王』
そっか、国王かあ。国王ね。ん……国王?
『こ、国王~!?』
国王って、敵国で一番偉い人じゃない。言い換えれば、私たちアミルカ王族の最大の敵じゃない。
いやあ、国王か。のほほんとしている、いやボーっとしていてどんくさいと兄弟に言われる私だけど、さすがにビックリしたなあ。
『ってことは、私は王妃に……』
大丈夫かなあ。我ながら頭はあんまり良くないし、気もきかないし……敵国でいじめられたら泣いて帰ってきちゃうかも。
『ミリィ!』
『は、はいいっ』
いきなりお母さまが大きな声を出したので、思わず背筋がピンと伸びる。お母さまは私の目をじっと覗き込み、今度はごく小さな声で言った。ドアの向こうにいる、シャイレンドルフの兵に聞こえないように。
『いいことミリィ、あなたに託すのは非常に心配だけど、これは好機よ。エドガー王に報復するの』
『ほ、ほうふく』
報復って、やり返すって意味だよね?
まばたきをする私を、お母さまは見たこともない険しい顔でにらむ。顔の中心に無数のシワが寄っていた。