朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令
「悪いが、今夜はこれで失礼する。明日は朝から忙しい」
「え、あ、はい」
「くれぐれも、無断外出はしないでくれ。また暇を見つけたら遊んでやるから」
エドガーは父親みたいな台詞を吐くと、カップに残っていたお茶をぐいっと飲み干した。
「これ、持っていっていいか?」
呆気にとられている私の目の前で、エドガーが焼き菓子を指さす。
「ダメ!」
私はそれをお皿ごと取り上げた。部屋の隅っこまで走って、エドガーがきょとんとした顔をしていることに気づく。しまった、不自然すぎた。
「こ、国王ともあろうお方が古いお菓子なんて、食べてはいけません」
「今日作ったんだろ」
「で、ですけど、また、新しいものを作りますっ。ほ、ほら、変わった風味がするとか……私、配合を間違えたのかもしれませんし」
「ほう」
私、何やってるんだろう。相手は私のことを疑いもしていない。さっきのひとつじゃ毒が少なすぎたのかもしれない。このままたくさん食べてもらって、死んでもらわなきゃいけないのに。
「じゃ、今度はもっとうまいものを期待してる。じゃあな」
立ち上がったエドガーは私に近寄って頭を軽く叩くと、ドアの方へ向かった。ホッとした瞬間振り返られて、ビクッと震える。