朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令


「悪いが、今夜はこれで失礼する。明日は朝から忙しい」

「え、あ、はい」

「くれぐれも、無断外出はしないでくれ。また暇を見つけたら遊んでやるから」


エドガーは父親みたいな台詞を吐くと、カップに残っていたお茶をぐいっと飲み干した。


「これ、持っていっていいか?」


呆気にとられている私の目の前で、エドガーが焼き菓子を指さす。


「ダメ!」


私はそれをお皿ごと取り上げた。部屋の隅っこまで走って、エドガーがきょとんとした顔をしていることに気づく。しまった、不自然すぎた。


「こ、国王ともあろうお方が古いお菓子なんて、食べてはいけません」

「今日作ったんだろ」

「で、ですけど、また、新しいものを作りますっ。ほ、ほら、変わった風味がするとか……私、配合を間違えたのかもしれませんし」

「ほう」


私、何やってるんだろう。相手は私のことを疑いもしていない。さっきのひとつじゃ毒が少なすぎたのかもしれない。このままたくさん食べてもらって、死んでもらわなきゃいけないのに。


「じゃ、今度はもっとうまいものを期待してる。じゃあな」


立ち上がったエドガーは私に近寄って頭を軽く叩くと、ドアの方へ向かった。ホッとした瞬間振り返られて、ビクッと震える。


< 50 / 230 >

この作品をシェア

pagetop