朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令
「一応、言っておくけど」
「は、はい、なんでしょう」
いったい何の話かしら。汗でドレスが体中に張りついているのを感じる。
「俺にはいかなる毒も効かない。残念だったな、ミリィ。今度は本気でお仕置きしてやる」
勝ち誇ったように、口の片端を上げてにっと笑ったエドガー。
返事をする間もなく、彼は優雅に部屋を出て行ってしまう。
バタンとドアが閉まる音を聞いた途端、体中から力が抜け、ぺたんと床に座り込んでしまった。
毒が効かないって、なに。そんな人間、聞いたことない。
ううん、それよりも。あの人、自分が毒薬を食べたことに気づいたんだ。やっぱりあの一口で、変な味がしたのかな。お腹が痛くなったり気持ち悪くなったりしたなら気づいてもおかしくないけど、あんな平気な顔をしてたのに……。
しかも、毒を盛った張本人の私を野放しにしておいていいわけ? 普通ここで打ち首じゃない? どうしてそうしなかったのかしら。
私がこれから何度命を狙おうと、エドガーにとってはなんの恐怖でもないってこと?
考えれば考えるほどわけがわからなくなって、とうとう途方に暮れてしまった。
外で暗殺の結果報告を待っているボートレイト伯爵の存在なんて、きれいさっぱり忘れてしまっていた。