朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令
3・切れ味を確かめさせてください
「なんということでしょう」
翌朝になって戻ってきたボートレイト伯爵は、寝間着のままドアを開けた私を見下ろして憤慨した表情で言った。
「いったいどういうことか説明してくだされ!」
大声でまくしたてられるけど、眠たい目をこすりながらベッドへ戻る。だって仕方ないじゃない。昨日は色々ありすぎて、考えているうちに眠くなっちゃったんだもん。出来事が私の頭の情報処理能力を越えちゃったんだもん。
「みーりーぃーさーまー!」
とうとう耳をぎゅいーんと引っ張られ、痛みで起こされた。うう、ひどい。私これでも王女なのに。
「かくかくしかじかよ。もう無理よ、暗殺なんて。やめましょ」
私はできるだけ手短に昨夜のことを説明する。だけど話が下手でうまく伝わらず、途中途中で何度も質問された。
一番安全で確実だと思われた毒殺が通用しないんだもん、もう無理じゃん。遠い国の暗殺専門組織の少女たちはその体に性病を飼いならし自らを毒の壺にしておき、ターゲットと肉体関係を持って病気を伝染させるなんて恐ろしい話をお母様に聞いたけど、私にそんな準備期間ないし。時間あっても絶対やりたくないけど。
とにかく、それくらいの根性を持ってやりなさいってことだったんだろうけど、無理なものは無理。根性で成功するほど、暗殺は甘くない。