朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令


「あのう、部屋で食べるならそんなに急がなくても」

「今日はお部屋ではございません」

「はい?」


ここじゃなかったら、どこで食べると?


「突然国王陛下が朝食会を開かれるとおっしゃったのです。王女様をそこで王族の方々や大臣の方々に紹介すると」

「ええっ」


き、聞いてないけど。


「皆さんが集まれる時間が、急に取れたとのことで」


個別ではなく、一気に紹介しちゃえばエドガーの手間が省けるってわけ。それはわかるけど、どうして昨夜教えてくれなかったの。

いや……そういえば、彼は昨夜『明日は朝から忙しい』って言ってたっけ。あれって、これのことだったの? そうならそうと言っておいてよ。なんて性格が悪いの!


「朝食会という名目で我らを呼び出し……公開処刑する気では……」


ボートレイト伯爵がカーテンにくるまりながらぼそぼそと言っている。

まさか。だったら堂々と兵士を寄越すはず。エドガーはきっと、そういう人よ。


「とにかく行きましょう。お腹を縛りなさいっ、伯爵」


どうせ逃げられないのよ。すっごく逃げたいけど、どうせ捕まっちゃう。なら、素直に堂々と敵の前に出ていこう。


「それを言うなら、『腹をくくる』ですよう、ミリィ様……」


ボートレイト伯爵は泣きながら、カーテンからよろよろと出てきた。緊張でガチガチになった私たちを、ルーシアがずっと怪訝そうな顔で見ていた。


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