朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令


「王女、よろしくお願いします。私は財務大臣のオーケンと申します」

「ご、ごきげんよう」


たまにこうして席を離れて紅茶のポットを持って私のグラスにお酌をしにくる人もいる。まだ夜じゃないからお酒じゃないのはわかるけど、ちょっと変な感じ。

私のことを良く思っていないらしい人たちはこちらに近づかず、すました顔で淡々と朝食を口に運ぶ。

そういえばこの結婚は、議会で多数決で決まったのだとアミルカで聞いた。アミルカを完全に植民地化して国民を奴隷のように働かせ、シャイレンドルフを発展させようという意見と、実質的な支配権はシャイレンドルフが持ちながらもアミルカ王家も生かしておこうという意見があったという。

王は後者の意見に賛成だったらしい。そもそも先の戦争のきっかけは国境の鉱山の所有権。それが手に入った今、これ以上の無用な争いは避けようという方向で落ち着いているみたい。

二国の友好的な関係の始まりが、私たちの結婚にかかっている。

だけどそれはシャイレンドルフの偉い人たちの思いで、アミルカ王家は誰もこの結婚を歓迎していない。彼らはひとえにシャイレンドルフを恨み、いつかやり返して自分たちの権利を取り戻そうとしているから。


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